プロローグ
2020年夏、当ブログの管理人やつなんの元に勤務先からある通達が届きました。
希望者は完全リモートワーク。原則出社不用。(ただしお給料はちょっと下げるよ!)
例のウイルスの蔓延によって、やつなんの職場でも春先から試験的にリモートワークが導入されていましたが、その内容を拡大して完全リモート&恒久制度化するというお達しでした。括弧の中身が少々気にはなりましたが、満員電車での通勤に飽き飽きしていたやつなんは30秒ほどの熟考を経てこれに乗っかることにしました。
それから数日。晴れて正式に在宅勤務の辞令が下りました。括弧の中身もさほど大きくはなく、満員電車からも開放されてめでたしめでたし…ではあるのですが、ひとつだけ、やつなんには気になっていたことがありました。それは、当時暮らしていた都内のマンションが手狭でリモートワークには全く向いていないということ。
とても便利なマンションではありました。駅もスーパーもドラッグストアもコンビニも、カフェもファミレスも各種クリニックもホームセンターも、全てが徒歩5分圏内。でも、狭いんです。試験的なリモートワークでも資料の置き場やテレカンの際の遮音などに苦労していたのに、それがこの先毎日ず〜っと続くとなると…という訳で、完全リモートワーク化を機にやつなん家では住み替えに向けた検討が始まることになりました。
よし、住み替えよう!
便利さゆえ、そして引っ越しにまつわる各種手続きの面倒さゆえに目を背け続けて来ましたが、当時暮らしていたマンションには他にも住み替えを検討すべき理由がありました。
築年数の経過と共に管理費や修繕積立金が上がり続けて毎月結構な出費になっていたこと。子供の成長に伴っていずれは部屋数が足りなくなること。そして、都内に住み続けるのに通勤以外の大きな理由が無いこと。
調べたところマンションは購入時とあまり変わらない額で売却できそうです。完全リモートによって通勤の足枷も無くなりました。家族会議(やつなん×やつよめ)の結果、やはりこのタイミングで今よりも広い物件に住み替えることが満場(2人だけですが)一致で決まりました。
で、どこに行く?
さて、通勤にまつわる諸々(駅までの距離や乗車時間、乗り換えの有無、混み具合、etc)を一切気にしないで良いとしたら、みなさんは何を基準に住む場所を選ぶでしょうか?
やつなんの場合、昔から「田舎暮らし」への漠然とした憧れがあり、ポツンと一軒家とまではいかないものの、リタイア後は都会から少し離れた海の近くか山の中…そう、キャンプ場や別荘地があるような場所に住めたらな〜などと思っていました。そのチャンスがリタイアを待たずして突然やってきた訳です。
田舎暮らしのメリット:
・素晴らしい自然環境
・混雑がなく静か
・土地や家賃がとにかく安い
・農産物や海産物も安い
・アウトドア系の遊び場が近くて豊富
田舎暮らしのデメリット:
・店や学校、病院などが少なくて遠い(ほぼクルマ必須)
・電車やバスの本数が少なくて不便(やっぱりクルマ必須)
・不動産の資産価値があってないようなもの
・居住者のマンパワーに頼らざるを得ない自治活動
・自然災害の脅威
買い物は通販でかなりカバーできるし、夫婦そろって運転は嫌いじゃないし、そもそも都市部で広い物件を買えるほどの予算は無いし、だったら体力があるうちは利便性には目をつぶって「自然環境」をテーマに住む場所を決めてしまおう。海辺もいいけど、波乗りでブイブイ言わせるほど若くはないし、住むとしたら夏も涼しくて爽やかな高原かな?軽井沢、箱根、富士五湖、那須、白馬、そして八ヶ岳…。うん、どこも魅力的です。
条件を挙げてみた
なんとなく「高原」という目標が見えてきたところで、場所選びの具体的な条件を挙げてみることにしました。
① 都心まで3時間以内
② 別荘または移住者が多い地域
③ 追加資金なし
④ 生活&子育ての環境がそこそこ整っている
⑤ 多少なりとも土地鑑あり
⑥ 光回線
以下、ざっと説明します。
① 都心まで3時間以内
完全リモートとはいえ、やつなんの場合は打合せなどで月に1回程度は都内に出向く必要があり、その際に日帰りで対応できる範囲として「都心まで3時間以内」を条件としました。新幹線を使えば大阪や金沢、盛岡あたりもぎりぎり圏内になりますが、荷物が多い時に備えて自家用車での移動も想定すると、その範囲は首都圏(東京・神奈川・千葉・埼玉・茨城・栃木・群馬・山梨)と長野・静岡の一部に限られます。
② 別荘または移住者が多い地域
現地に通い詰めて人間関係を構築した上での移住ならともかく、そうでない場合、現地でのコミュニケーションのとり方についてはあらかじめよく考えておく必要がありそうです。特にリモート移住の場合は、仕事を通じて交流を深めていくという近道が存在しないことに加えて、仕事の量や拘束時間によっては自治活動などへの参加もままならず、コミュニケーション不足どころか地域のお荷物になってしまうといった事態も想定されます。なので移住初心者のやつなんは、管理費と引き換えに草刈りや除雪などの自治活動を代行してもらえる管理別荘地や、移住者への理解が深そうな地域であることを条件としました。
③ 追加資金なし
新たに住宅ローンを抱えることも、ただでさえ心もとない貯蓄をさらに減らすこともしたくなかったやつなんは、「追加資金なし」を条件としました。要するに「今まで住んでいたマンションを売却することで得た資金で、新しい物件の購入費用や関連費用を全額賄う」という縛り。仮にマンションが3,000万円で売れたとしら、そのお金であらたに3,000万円の物件が買えるのか?というとそんな都合の良い話はどこにもなく、売却と購入の両方で必要になる仲介手数料、引っ越し費用、不動産取得税、売買のタイミング次第で発生する仮住まいの費用、さらに住宅ローンが残っていればその清算などで、新しい物件の購入資金は情け容赦なく減っていきます。このあたりの収支については後日あらためて記事にまとめるつもりです。
④ 生活&子育ての環境がそこそこ整っている
自然環境優先で利便性には目をつぶることにしたものの、スーパーまで山道を1時間とか、保育園や小学校の送迎に片道30分×2往復で毎日2時間といったレベルになってくるとガソリン代も含めていろいろと生活に影響が出てきそうです。なのでクルマで概ね15分の範囲内に必要な施設がほぼほぼ揃っていることをひとつの目安としました。
⑤ 多少なりとも土地鑑あり
今の時代、一度も訪れたことがない場所でも行った気になってしまうぐらいの情報が簡単に手に入ったりもしますが、それでもやっぱり百聞は一見に如かず。「住んでみたら思っていたのと違った!」という最悪のポカを避けるために、何度か現地に行ったことがありそれなりに馴染みのある場所という縛りの中で考えることにしました。賃貸ならまだトライ&エラーの余地もありますが、いきなり購入となるとやはりここは安全第一です。
⑥ 光回線
リモートワークである以上これは必須条件なのですが、調べたところ光回線の普及率(世帯カバー率)は既に99%を超えているようなので余程の山奥でない限りは問題なさそうです。
これらの条件を元に、住んでみたいと思う「高原」をひとつひとつチェックしていきます。軽井沢はやはり日本を代表する避暑地だけあって③の資金面でそもそも無理。箱根も③と④のバランスが難しい。那須は別荘地と市街地が結構離れているため②と④の両立が、富士五湖もやつなんが好きな山中湖や本栖湖周辺まで行ってしまうと④が厳しそう。そして白馬は①の条件が満たせない…。
八ヶ岳南麓を選んだ理由
さて、残るは八ヶ岳。
前回の記事でも触れましたが、「八ヶ岳」は長野県と山梨県にまたがる連峰です。その八ヶ岳の山梨側、東京に一番近い山麓に、JR中央本線の特急停車駅と中央道のインターチェンジを併せ持つ「小淵沢」という町があります。やつなんもやつよめも以前からよく訪れていた馴染みのある町ということで、八ヶ岳についてはこの小淵沢周辺を中心に考えることにしました。
その交通の便の良さから「南八ヶ岳の玄関口」とも称される小淵沢、特急や高速道を使えば電車でもクルマでも都心まで約2時間という近さなので、先ほどの条件①は余裕でクリア。インターを降りてクルマで1~2分、駅からでも5分も走れば移住者も多い広大な別荘エリアが広がる避暑の町なので②もクリア。③の資金はひとまず置いといて、④の生活&子育て環境も町内をベースに必要に応じて隣町(クルマで15分ほどの長坂や富士見)まで足を延ばせば問題なし。⑤の土地鑑についても、よく訪れていた地域ということもあり、延々と氷点下が続く冬の厳しさも含めて地理も住環境も割と理解できている。⑥についてもたぶん大丈夫(物件の立地次第ですが)
そして最後に条件③の資金面。マンションの予想売却額から仲介手数料やローンの残債、その他諸々を差し引いた、あたらしい物件の購入予算は概算で2,500万円。金額的にもスケジュールの面でもさすがに新築は厳しそうなので、アットホームで中古戸建ての相場を調べてみます。駅名に小淵沢と入力して、2,500万円以下の条件で検索すると…築年数や土地面積などで価格に開きがあるものの、予算内でもそれなりに納得のいく物件が買えそうです。
という訳でまずは全条件をクリアした八ヶ岳南麓、小淵沢周辺で実際に物件を探してみることにしました。結果としては探し始めから決定まで僅か1ヶ月というスピード購入に至った訳ですが、その辺のお話はまた次回に。
ちなみに小淵沢、JRの駅名は「こぶちざわ」ですがインターは「こぶちさわ」、住所や道の駅の名称も「こぶちさわ」と読みます。茨城問題(?)と同様に、気にする人は気にするようなのでご注意を…。
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